強引でロマンチストなホテル王に溺愛されました。
愛を結ぶ場所


 その後のことは、ちょっと文句を言いたい。


 元々搭乗時間ギリギリだったこともあって、余韻に浸る暇もなく飛行機に急いで乗らなくてはならなくなった。

 そのまま一度別れなくてはならないかもと思っていたけれど、ケントは少し強引に私と同じ便のチケットを取ったらしくこのまま一緒の便で日本に行くことになる。


「パスポートを持ったままで良かったよ」

 というのはケントの言葉。


 イタリアに帰ってきたらいつもは持ち歩かないらしいけれど、今回は家に置きに行かずに私を追いかけてローマに行き、そのまま観光をしていたから持ち歩いたままだったそうだ。


 席は離れていたけれど、成田空港についてからはずっと一緒だった。


「せっかくだからこのまま依子の両親に挨拶しておきたいな」

 と言う彼に、仕事は良いのか、イタリアに帰らなくて大丈夫なのか。

 そう心配する私にケントは「大丈夫だろう」と簡単に言う。


「多少は融通が利くだろう。カテリーナには悪いが、最後に頑張ってもらうさ」

 最後というのが分からなかったけれど、その後に借りたままになっているスマホに来たカテリーナさんからの電話で意味が分かった。


『はぁ……やっぱり一緒に日本に行っちゃってたのね……。出来る限り早く帰るように依子からも言ってちょうだい』

「……はい」

 疲労の色が強そうな話し方に何だか申し訳なくなってくる。
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