光の向こうへ
あくまで噂なので真実はわからないが、太陽はすでに目をつけられいるらしく早速公開処刑が行われた。

「提出物はどうした渡辺。」

「……忘れました」

「期限は今日までのはずだったが」

「……。」
教師にもフランクな態度で接する太陽だが、すっかり怯えて縮こまっている。

「明日必ずもってこい。あと、原稿用紙1枚書いてこい」

「……はぁい。」

「返事はちゃんとしろ。もう一枚追加してもいいんだぞ」

「はい!!明日必ず提出します。」

怯えと羞恥から顔が真っ赤で今にも泣き出しそうな太陽は少しかわいそうだった。

そんな太陽に目を向けず、今後の予定を話し続ける。
ダラダラと話すことなく、要点をまとめ簡潔に話を進めるのでわかりやすかった。

「お前たちは今日から中3だ。去年までと同じだと思うなよ。受験生という自覚を持て。
部活動をやっている生徒が多いが勉強も手を抜くな。今後の行動は全部お前たちの進路に関わってくる。そのことを忘れずに。」

教室は、ずっと重い空気を保ったままだ。
横の太陽をはじめ多くのクラスメイトは早く話が終わるように祈っている。いつ自分に火の粉が降るかわからず怯えていた。
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