光の向こうへ
「そんな釣れないこというなよ」

「たいちゃんが奢ってくれるならいくよー」

「僕も」

「万年金欠の俺にそんなお金があると思うか?」

「ないでしょ?」

「そうだ!!ないっ!お小遣い三千円を舐めるなよ!」

「じゃあ、一人で行ってくれば?」

「そんなつれないこと言うなよー。一人映画とかつまらないだろ?」

僕に続けてはるかもいじり始める。
「彼女と行けば?」

「そんな人いませんっ!!」

「あはは、知ってるー。」
太陽に彼女ができたことがない。というよりも、僕ら3人とも色恋沙汰とは無縁だ。
まあ、告白されたことはあるけど…。

「はるか、お前喧嘩売ってるのか?受けてたつぜ」

「後で泣いても知らないよ?」

「太陽やめとけ。どうせお前が負けるから」

「おいっ!」

太陽はことあるごとにはるかに挑んでいるがことごとく打ちのめされている。
負ける場面は見たことあるいや負ける場面しか見たことがない。
気弱そうなはるかだが、この中では一番強い。

太陽は、幼い頃に何度もはるかに泣かされていた。
幼い頃の太陽はまるで絵に描いたようなガキ大将で、その割に泣き虫だった。はるかに何か言われるとすぐ泣く。何度泣かされてもめげずに喧嘩を売り、言い負かされて泣く。それを繰り返していた。
まあ幼い頃、太陽が泣かされるきっかけを作っていたのは僕だったりするけど。
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