神、恋に落ちる
「白羽…白羽…白羽…好き、好き、好き……」
「あ…み、こと…さ……」
「白羽…好き、好き……愛してるよ…
キスしよ……」
「ンンン……んぁ…」

揺さぶられながら、キスをし貪られる。
命の狂おしい愛情が、伝わってくるような気がした。

命がキスをしたまま白羽の背中を支え、起き上がった。繋がったまま、命の膝の上に乗っている。
「ひやぁ…?!!」
「白羽…キス!俺の口唇離さないで?」
後頭部を優しく押しつけられた。


「んんー!!
みこ…とさ……も…だめぇ……」
白羽が何度果てても、命は止まらない。
少しずつ命が霞んで見えてきて、白羽は意識を飛ばした。

ぐったりしてもたれかかってきた白羽を、愛おしそうに抱き締めた、命。
「フフ…最高…!!
白羽、好き、好き、好き、大好きだよ…!」

そして、白羽の服を整えた。
「…………白羽の中から出たくないなぁ…
でもこのままじゃダメだしぃ…」
しかたなく、白羽を下ろした命。
そのまま抱き上げて、店を後にした。

「クロ、女達全員に金を渡して絶っといて!
あと、白羽を襲ったって奴を調べて!
川岸に言えば、わかるでしょ?」
「かしこまりました」

帰りの車内。
白羽を膝枕して、ずっと頭を撫でながら愛おしそうに見つめている命。

バックミラーで命を見た黒崎は、信じられない思いだ。
“あの”命が由那以外の女に心を奪われ、こんなに優しい顔をするなんて……

基本的に物腰の柔らかい命。
だが、どこか冷たさを秘めた命。
信用できる人間にしか本当の心を開かず、無情な男。

一徹はまだ自我が保てる人間だが、命は違う。
征服欲が強い、命。
実質、命に逆らえる人間がいない為、何でも思い通りになる命。

そして、一徹と命の決定的な違いがある。

命には、倫理や道徳が存在しないのだ。

今後、周りの人間を巻き込み白羽を一生囲い放さないだろう。

黒崎は、これから起こる命の重く深い狂愛を予感し、恐ろしさで身体を震わせていた。
きっと一徹以上の、狂愛だろうと━━━━━━
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