君に逢える日
◆
『HAPPY HALLOWEEN』

　街がハロウィン一色になっていき、楽しい雰囲気に染まっていく。

　僕も浮かれているうちの一人だけど、周りとは少し違うことで、今日のハロウィンという日を待っていた。

　この日だけ会える、鬼の仮装をした少女。

　話したことはない。なんだか不思議な雰囲気をまとっていて、話しかけることができていない。

　これだけだと、僕、ストーカーみたいだ。

　でも、ハロウィン以外の日に彼女の姿を見たことはない。彼女のことを探したこともない。

　これも、言い訳みたいだな。余計怪しく感じてしまうじゃないか。

「ねえ君、誰か待ってるの？」

　夕方、最寄り駅の前を通ったら、男のそんな声が、嫌にはっきり聞こえてきた。気になって声がしたほうを見ると、三人の男が誰かを囲んでいる。

　歩きながら見ていたら、囲まれているのが僕が気になっていた彼女だとわかった。その瞬間、僕の足は止まった。

　助けなきゃ。

　そう思ったのに、動けなかった。怖いみたいだ。

「一人なら、俺たちと遊ばない？」

　僕が固まっている間にも、男たちは彼女に詰め寄っていく。彼女が迷惑そうにしているのがわかる。でも、彼女は迷惑そうにしているだけだ。
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