君に逢える日
「何を根拠に……」
燈は彼のことは知らないはず。だからこそ、こんな言葉は私には届かなかった。
「だって、椛は可愛いから」
「理由になってない」
笑っているということは、今のは冗談だったのだろう。
「その人間、椛のことを助けてくれて、食事に誘ってきたんでしょ? それって、椛のことを好きってことじゃないの?」
それは少し思った。
私を誘ってきたとき、耳まで真っ赤にしていた。
その後に慌てた様子で言っていた言葉も、忘れられない。私のことを知ってくれていたことが、とても嬉しかった。
「……だから言えないんだよ」
燈は理解できなかったようで、首を傾げる。
「好きな相手が人間じゃないなんて、普通は受け入れられないでしょ」
思考が最初に戻っていることは自覚している。でもどうしても、いい未来が想像できない。
「もみ」
「椛!」
燈の声をかき消すように、小鬼の月雲が私の名前を呼んだ。
月雲は私の膝に手を置き、純粋な目で見上げてきた。
「月雲、どうしたの?」
泣いていたことに気付かれないように、できるだけ笑顔を取り繕う。
「椛がいつも会いに行ってる人間が、ずっと椛のこと探してるみたいだよ。何かあったの?」
それを聞いた瞬間、私は立ち上がって走り出していた。
燈は彼のことは知らないはず。だからこそ、こんな言葉は私には届かなかった。
「だって、椛は可愛いから」
「理由になってない」
笑っているということは、今のは冗談だったのだろう。
「その人間、椛のことを助けてくれて、食事に誘ってきたんでしょ? それって、椛のことを好きってことじゃないの?」
それは少し思った。
私を誘ってきたとき、耳まで真っ赤にしていた。
その後に慌てた様子で言っていた言葉も、忘れられない。私のことを知ってくれていたことが、とても嬉しかった。
「……だから言えないんだよ」
燈は理解できなかったようで、首を傾げる。
「好きな相手が人間じゃないなんて、普通は受け入れられないでしょ」
思考が最初に戻っていることは自覚している。でもどうしても、いい未来が想像できない。
「もみ」
「椛!」
燈の声をかき消すように、小鬼の月雲が私の名前を呼んだ。
月雲は私の膝に手を置き、純粋な目で見上げてきた。
「月雲、どうしたの?」
泣いていたことに気付かれないように、できるだけ笑顔を取り繕う。
「椛がいつも会いに行ってる人間が、ずっと椛のこと探してるみたいだよ。何かあったの?」
それを聞いた瞬間、私は立ち上がって走り出していた。