クラスの男子が全員、元カレだった件




店を出て、電車に乗ると、座席にひざをついて景色を眺めていた子供から、敬礼のポーズをされた。それも3人の子供からだ。


さすがに恥ずかしくて、違う車両に行きたかったけど、そういうわけにもいかない。私はもう腹をくくって、今日一日、戦争ごっこに付き合うことにした。


にしても、珍しいなとは思う。重松茂という男の私服は、こんなのじゃなかった。


どんな服を着ていたか思い出せないほど、地味で無難なものだったと思う。それが今では、迷彩柄。


いや、目立たないという意味で言えば、地味に拍車はかかったのかもしれない。


それでも、迷彩柄にミリタリーパンツなんて組み合わせ、あの重松茂からは想像がつかなかった。


本当に私の隣で、子供たちにアメを配っている男は、重松茂なのだろうか。


ひょっとして生き別れの弟さんとかじゃないだろうか。


なんて、今日はやけにばかばかしいことを考える。それぐらい意外なのか、月日が経ったということなのか。



< 61 / 406 >

この作品をシェア

pagetop