【コミカライズ】腐女子令嬢は隣国の王子から逃げられない~私は推しカプで萌えたいだけなのです~
「エル」
 アイリーンはノエルを抱きしめたい衝動に駆られた。この場所でこんな格好でなければ、間違いなく抱き着いていた。

「リーン、私たちもそろそろ行きましょう」
 卒業パーティが今、始まる。

 学長の挨拶、生徒会長の挨拶、そして国王陛下からのお祝いの言葉。それが終われば音楽が鳴り始める。
 生徒会長の挨拶を聞いているときに。

「ええと、この辺りで有名な婚約破棄イベントとかは無いですよね?」
 と隣にいるノエルに聞こえるだけの小さな声でアイリーンが呟いたら。

「残念ながら、イブには婚約者がいないもの。リーン、一体、あなたどんなことを考えているのよ?」

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