【コミカライズ】腐女子令嬢は隣国の王子から逃げられない~私は推しカプで萌えたいだけなのです~
「例えば。婚約破棄したところに、会長のことを愛しているとか言う人が現れて。それがフランシス元会長だったとか?」

「ぷっ」
 思わずノエルが吹き出したら、隣のジョアキナから冷たい視線を投げつけられた。

 挨拶を終えたイブライムがアイリーンの元へと近づいてきた。先ほどのノエルとの話は内緒の話。

「リーン、私と一曲踊っていただけないだろうか」
 アイリーンは差し出された手にそっと自分の手を重ねる。今日のイブライムはいつもの五倍増しで格好よく見えてしまうのが不思議だ。いつものアイリーンの妄想癖はどこへいってしまったのだろう。

 アイリーン自身もイブライムに惹かれていることに気付いていた。だけど、アイリーンにはやりたいことがある。それを成し遂げるには、きっとイブライムは邪魔な存在になる。
 曲が終わった。こんなにも名残惜しいと思ったことも初めて。夫婦でも無いし婚約者でも無い。まして恋人同士でも無い。一曲で終わり。
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