【コミカライズ】腐女子令嬢は隣国の王子から逃げられない~私は推しカプで萌えたいだけなのです~
 イブライムはそのままアイリーンの手を引いて、バルコニーへと向かった。

「どうかされましたか?」
 頬を撫でていく風が心地よい。街はゆっくりと闇に飲まれていくところ。

「リーンは人の多いところは苦手だろ」

「え、ええ。まあ、はい」
 どうしてだろう。些細な心遣いがこんなにも嬉しい。

「それに。オレが、リーンが他の人と踊るところを見るのが耐えられなかった」

「え、っと。それは」

「リーン。オレはリーンが好きだ。だから、オレとその。恋人同士になって欲しい」

 アイリーンは一瞬、何を言われているのかが理解できなかった。頭の中に大きな鐘が鳴り響いてリンゴンリンゴンといっている。何が、起きた?

「あの、えっと」
 という言葉しか出てこない。

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