【コミカライズ】腐女子令嬢は隣国の王子から逃げられない~私は推しカプで萌えたいだけなのです~
 文芸部室に戻ると、先ほどの三人が黙って本を読んでいた。三人は、本から目を離さずに「おかえり」とだけ口にする。
 アイリーンはそのまま本棚の前へ。ジャンル別に並んでいるとヘレンは言っていた。甘美小説が並んでいると思われる棚の前に立つ。
 こちらの世界の本。挿絵が無いだけでなく、表紙にも絵が無い。ジャケ買いができないという悲しみ。とりあえず、タイトルから気になった物を手に取って、中身を確認しようかと思っていたけれど、ノエルは甘美小説が好きだと言っていたから、手っ取り早くオススメを聞いてみるのもありかな、と思う。

「あの。ここにエルのオススメの本ってある?」

 アイリーンがそう尋ねた時、静かに本を読んでいたはずの三人が顔をあげた。
「アイリーンさん、それは聞いてはならない」
 と言ったのは部長のルーク。

「いくら文学が自由であっても、ノエルさんのオススメは刺激が強すぎます」
 と言ったのはヘレン。

「私もオススメがあるんだけれど」
 と立ち上がったのはサラ。

「本当に、私のオススメでいいの? 私の好きな本でいいのかしら?」
 ノエルは尋ねる。それにアイリーンは頷く。
「サラ先輩。初心者に優しいものからすすめましょう」

「そうね」
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