ちょうどいいので結婚します
千幸は朝起きてすぐに功至にメッセージを送ろうとしたが、休日の朝は何時にメッセージするのが迷惑でないかを考え過ぎてしまい、結局間に合わなかった。既に買った後だと功至に言われたのだ。
仕方なく、どんな酒にも合いそうなものを手土産に選び、良いのかな、良いのかなと散々迷った挙句その中に自分の好物も用意した。
千幸が駅に着くと、すでにそこには功至がいて、千幸に気が付くと走って近づいた。
「何でこんな荷物多いんですか、え、両手って。何が入って、重っ」
功至は千幸の両手から重量感のある荷物を取ると心配そうに千幸の腕を見る。
「こんなに荷物が多いなら、もっと近くまで迎えに行ったのに。大丈夫ですか、腕取れてませんか?」
「腕……は、取れないと思います」
千幸は軽くなった腕を大袈裟にぐるぐる回して見せた。
「良かったです」
功至はやっと笑顔を見せた。
「一柳さんは平気ですか?」
「心臓が痛いくらいです」
「はい?」
「いえ、大丈夫です」
功至のマンションは駅からすぐだった。すでにそこに着くまでに会話はなく、次に功至が口を開いたのは
「どうぞ」
と、中に入る時だった。
「お邪魔します」
「はい、そこのソファに座って、この持って来ていただいた物はどうしましょう。冷蔵庫に入れておきましょうか」
「冷蔵庫に入れるものは、チーズと、生ハム、松前漬けくらいでしょうか。あ、あとししゃも」
冷蔵庫の前では、不思議そうな顔の功至が荷物と千幸の顔を往復させていた。
仕方なく、どんな酒にも合いそうなものを手土産に選び、良いのかな、良いのかなと散々迷った挙句その中に自分の好物も用意した。
千幸が駅に着くと、すでにそこには功至がいて、千幸に気が付くと走って近づいた。
「何でこんな荷物多いんですか、え、両手って。何が入って、重っ」
功至は千幸の両手から重量感のある荷物を取ると心配そうに千幸の腕を見る。
「こんなに荷物が多いなら、もっと近くまで迎えに行ったのに。大丈夫ですか、腕取れてませんか?」
「腕……は、取れないと思います」
千幸は軽くなった腕を大袈裟にぐるぐる回して見せた。
「良かったです」
功至はやっと笑顔を見せた。
「一柳さんは平気ですか?」
「心臓が痛いくらいです」
「はい?」
「いえ、大丈夫です」
功至のマンションは駅からすぐだった。すでにそこに着くまでに会話はなく、次に功至が口を開いたのは
「どうぞ」
と、中に入る時だった。
「お邪魔します」
「はい、そこのソファに座って、この持って来ていただいた物はどうしましょう。冷蔵庫に入れておきましょうか」
「冷蔵庫に入れるものは、チーズと、生ハム、松前漬けくらいでしょうか。あ、あとししゃも」
冷蔵庫の前では、不思議そうな顔の功至が荷物と千幸の顔を往復させていた。