No rain, No rainbow-ナナイロのシアワセ-
横を向いていた律さんが、そんな私を目ざとく見つける。

あ、まぁた、あなたは。どうして笑ってるの?

少し笑い声を含んだ、穏やかな声が私に問いかける。

「毎日、毎日、毎日、毎日。こんなにシアワセが重なったら、バチがあたるかなぁ。とか、シアワセに慣れちゃうかなぁ、とか思ってたんですけど」

「うん」

全然そんなことなくて。

毎日、毎日、毎日、毎日、シアワセで。

どんなにシアワセが、重なっても、私は常に律さんに感謝してずっとずーっといっしょにいたいと思ってるんです。

前は、相手が私をどう思ってるんだろう?なんて考える余裕なんてなくて。

ただただ、相手の思う通りに行動しなきゃ、生きていられなくて。

あからさまに、私を好きでもなんでもないって態度をされても私はそれを受け入れるしかなくて。

「詩さん」

たったひとこと。

放たれた私の名前。

そんな短い私の名前を呼ぶ律さんの声には、愛おしさが満ちている。


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