雨降る傘の下で、愛は始まる〜想う愛に想われ愛
私は朝陽さんのところに行って、周りに人がいないのを確認した。
「朝陽さん、このまま家に行ってもいいですか?」
「今日はダメだ。俺、きっと優しくできない」
「あのー、さっきの津田さんの話は、学生の時の話ですから」
「あぁ、そうだな」
「だったら・・・私、朝陽さんと一緒にいたいんです」
「ダメだ」
「傍にいたいんです」
私は寂しさに目が潤み、朝陽さんを見つめた。
「知らないぞ」
朝陽さんとそこからの帰り道は、一言も話すことなく、家に着いた。
玄関を開け、中に入ると、朝陽さんに貪るように唇を奪われた。
「朝陽さん、待って、ここでは・・・」
「待てない」
いつもの朝陽さんじゃない。
激しく唇を奪われた後、朝陽さんは悲しそうな目で私を見つめた。
「美咲、言っただろ。今日は優しく出来ない。俺、津田に凄く嫉妬している。だから今日は帰るんだ。嫌なところを見せたくない」
「朝陽さん、私は」
朝陽さんは、悲しい瞳のまま
「分かってる。分かってるんだ。でも気持ちが収まらない」
感情を押し殺した声でそう言うと、じっと私の目を見つめる。
「お願いだ、美咲」
私を抱きしめた後、ドアを開け
「また俺から連絡するから」
朝陽さんはそう言うとドアを閉めた。
私はそれ以上、朝陽さんへわがままを言えず、家へと帰って行った。
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