雨降る傘の下で、愛は始まる〜想う愛に想われ愛
【週末の金曜日は波乱の日】
「朝比奈、ちょっと頼み事あって」
この間、長井さんから津田さんの専属サポートと指導を承認されているから、断ることも出来なかった。
「ここさぁ、ちょっと直して資料作ってくれる?」
「わかりました。どういう風に直したらいいですか?」
「サーバーのファイルにあるんだけど」
私のパソコンを操作して、サーバーの資料を開いた。
「ここの部分をこうして・・・」
津田さんに教えてもらいながら、資料を変更していた。
すると朝陽さんは席を外し、長井さんと話しをしていた。
「朝比奈、神崎の事、気になるの」
私の耳元で津田さんがささやいた。
「ち、違いますよ、続き、教えてください」
私の気持ちを察した津田さんに、悟られないように仕事を進めた。

それからほぼ毎日のように、声を掛けらている。
津田さんは、あの時の先生のままで、明るくて優しく、いつも笑顔で教えてくれる。
営業管理の時、九州支社のことで、内容が分からず、処理だけしていたことも、内容を丁寧に教えてくれた。
「朝比奈、ちょっと会議の準備するから手伝って」
津田さんに呼ばれ、会議室へ向かった。
「津田さん、スクリーン、吊り下げのと、自立式、2つ用意しますね」
「あぁ、頼むよ」
大型の自立式は、古く、ぐらぐらしていた。
「このスクリーン、不安定ですけど大丈夫でしょうか」
そう思っていた時、スクリーンがぐらついて、私に倒れてきた。
「危ない!」
津田さんに引っ張られ、抱き寄せられてかばってくれた。
「大丈夫か?」
「だ、大丈夫です。津田さんも大丈夫ですか?」
「あぁ、大丈夫だ」
津田さんに抱き寄せられたまま、倒れたスクリーンを眺めていた。
「ありがとうございます」
津田さんから離れようとしても、腕を離さず、私をじっと見つめていた。
「津田さん?」
津田さんの顔が近づいているような・・・
「騒がしいけど、大丈夫か?」
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