雨降る傘の下で、愛は始まる〜想う愛に想われ愛
長井さんが心配して、見に来てくれた。
その声に津田さんが手を離し、私から離れた。
「だ、大丈夫です」
私は慌てて、倒れたスクリーンの横に駆け寄った。
今、津田さんにキスされるかと思った。
まさか、勘違いだよね・・・

ようやく金曜日になった。
今日は朝陽さんの家に行かせてもらおう。
朝陽さんの予定は、終日、外出だった。
先週のこともあるし、直接行って待っているのも気が引ける。
お昼休み、メールで確認した。
『今日、家に行ってもいいですか?』
メールをすると、直ぐに返信が来た。
『いいよ。今日は早めに帰るから』
やったぁ!
久々に朝陽さんと過ごせる。
朝陽さんにいっぱい抱きしめられたい。
『ご飯作って待ってますね』
『楽しみにしてる』
嬉しい。
私が携帯を見てにやけていると
「携帯見て、何にやけてるの?」
「い、いえ、別に」
「なぁ、朝比奈、今日、晩御飯食べに行かない?」
津田さんが私の席に来て、晩御飯を誘ってくれた。
「すみません、今日予定があって」
「そう、なら仕方ないね」
津田さんはにっこりと笑って、席から離れていった。

「朝陽さん、喜んでくれるかな」
ご飯を作り終えた頃、鍵が開いた。
「お帰りなさい」
玄関まで行って、朝陽さんに抱きつこうとした時、
「おっ!凄くいい匂いする」
「津田さん、なんで?」
朝陽さんの後ろに津田さんがいた。
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