雨降る傘の下で、愛は始まる〜想う愛に想われ愛
でも、美咲は津田のこと、憧れの好きだったと言ってたけど、心は揺れてないのか。
俺の気持ちは、葛藤していた。
進めかけた足を止めて、振り向いて足早に駅へと向かって行った。
俺が怖くて聞けなかった、美咲の本当の気持ちを聞いてみたい。
美咲の帰って来るのを待ってみよう。
今は、美咲を信じるしかない。
もし、これで美咲が俺から離れるなら・・・

買い物を終わらし、家に着いて料理を始めた。
料理は得意だけど、好きな人のことを考えながら、料理するなんて、思っても見なかった。
今まで付き合った彼女は、美咲とは全く違うタイプで、俺の外見だけで近づいてくることが多く、長く続かなかった。
でも、美咲は違う。
俺がずっと美咲を守りたい、そう思えた初めての女性だ。
美咲の笑顔、拗ねた時の顔、甘い時間を過ごす時の俺を見つめる妖艶な瞳。
それを失うことになるのか・・・
そんなことを考えながら、美咲の帰りを待っていた。

遅い・・・
もう帰って来る時間を過ぎている。
電話をかけたけど、繋がらない。
まさかあのまま津田と・・・

1時間ほどすると美咲から電話が掛かってきた。
『朝陽さん、連絡が遅くなってすみません、シャワー浴びてて』
「どこで?」
『家です・・・けど』
「誰といるの?」
『1人です。実は、会社を出てから雨が降ってきて、結構濡れたから、一旦着替えに帰って来て』
津田の傘に入って一緒に帰ったんだろ?
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