雨降る傘の下で、愛は始まる〜想う愛に想われ愛
「心配して来た同期の坂田くんが介抱してくれたってわけか。その坂田くんに俺は牽制されたんだけど、何か言われなかったの?」
「えーっと、何か言ってたような気はしますが、何だったかなぁ・・・」
顔が引きつってしまったけど、覚えていないふりをしよう。
「俺に嘘つく気なの?」
朝陽さんの真剣な瞳に見つめられて、観念して正直に答えた。
「付き合わないかって言われました」
「はぁー、予感的中だな」
朝陽さんは、パソコンを閉じて、私に向き合った。
「まぁ、美咲を好きになることは仕方ないとしてだ。お酒を飲んだ時の美咲は、男を惑わす」
実は、朝陽さんが迎えに来てくれたところまでは意識があるけど、安心したからか、緊張感が無くなって、その後は覚えていない。
「覚えてないの?車でのこと」
「す、すみません・・・」
「全く・・・もう2度と、俺がいないところでお酒は飲まないこと!わかったな!美咲」
「はい・・・」
私は下を向いて、ただただ反省するばかりだった。
朝陽さんは、そんな私の顔を上に向けて、いたずらっ子のように微笑んだ。
「でも、酔った美咲は時々みたいなぁ・・・明日、俺に付き合って」
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