雨降る傘の下で、愛は始まる〜想う愛に想われ愛
【また会う時は・・・】
津田さんが出国する日。
朝陽さんの運転する車で、見送ることになった。
車中では、助手席に座る津田さんと朝陽さんの研修時代の話から始まり、朝陽さんが九州出張に行った時の話を、津田さんがしていた時
「あっ、あの話はダメだよな」
「・・・そうだな」
2人は私をチラッと見て、口を噤んだ
「何ですか?怪しいですね・・・」
聞いたらきっと嫉妬する話だろうと察しはついた。
朝陽さんの過去の女性関係のことを聞けば、私は嫉妬に苛まれる。
聞かない方が自分のためだ。
でも今は・・・
仲良く話す私の知らない2人の絆の深さに、少し嫉妬した。

飛行場に着き、手続きを済ませ、津田さんが私達に近寄って来た。
「朝比奈、俺に向こうで彼女が出来ても泣くなよ」
「泣きませんよ」
「私も連れて行ってって、言わないの?」
「言いません」
「じゃあ、行かないでって、抱きついて」
「しません」
「せめて、高校生の時みたいに寂しそうな顔して欲しかったのに・・・」
「寂しいですよ。でも今は、朝陽さんがいますから」
「俺、なんか今、またフラれてる?」
「もういいかげんにしろ!」
朝陽さんが私と津田さんの間に入って来た。
「あぁー面白かったぁ。じゃあ、そろそろ時間だから、行くわ。ありがとう、送ってくれて」
「元気でな」
「体に気を付けてくださいね」
「あぁ」
津田さんは、微笑んで、歩き出した。
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