雨降る傘の下で、愛は始まる〜想う愛に想われ愛
【その後~1年後~雨降る傘の下で、永遠の愛を誓う】
★津田さんとの再会★

「美咲、着いたよ」
ようやくシンガポール・チャンギ空港について、ほっとしていた。
途中で揺れた時は、思わず朝陽さんにしがみついてしまった。
「空港広いし、はぐれると探せないから」
私は朝陽さんを見失わないように、緊張しながら入国審査を受け、税関を出るとどっぷりと疲れていた。
「おーい、神崎、朝比奈!」
声を掛けてきたのは、津田さんだ。
津田さんを見送ったあの日の言葉通り、新婚旅行はシンガポールに決めた。
「津田、助かるよ」
ふと隣を見ると、美女が立っていた。
「俺の彼女」
「初めまして、お話はお聞きしています。万里って呼んで下さい」
スラッと背が高く、目鼻立ちがはっきりした美人だった。
「初めまして、津田の同期で、神崎朝陽です。こちらが妻の美咲です」
万里さんは私の顔をじっと見ていた。
「初めまして」
私が挨拶をすると、はっ!という顔をして
「は、初めまして」
にこっと笑う万里さんは、津田さんが選んだだけあって、私とは正反対のモデルさんのようにスラッと背が高く、とても綺麗な人だった。

「このままどこか行く?」
「いや、いいよ。ホテルまで送って。まずは荷物預けるから、津田、ご飯食べる時間ある?」
「そのつもりだったから、大丈夫だよ。泊まるホテルの近くで食べようか」
「じゃあ、オーチャード・ロード行って。俺が前に出張に来た時、便利だったからそこにした」
津田さんは車を走らせて、ホテルで荷物を降ろし、お店を探して連れて行ってくれた。
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