天才幼女錬金術師に転生したら、冷酷侯爵様が溺愛パパにチェンジしました!
 だが、錬金術の初歩を学べるという喜びのあまり、うっかり視界を開いてしまったらしい。

「……あれ」

 もう一度、マナに意識を集中する。自分や父の身体を取り巻いているのは"銀色のふわふわ"そして、空中に漂っているのは"金色のふわふわ"である。

「ミリエラ、どうしたんだ?」

 天井を見上げているミリエラの様子が気になったようで、ジェラルドは作業の手を止めて近づいて来た。

「あのね、パパ」

 もじもじとしながらミリエラは口を開く。

「精霊さん達は、金色のふわふわなの。それで、ミリィがえいえいってマナを流すと、金色のふわふわも一緒に流れるの」

 ミリエラがマナを流し込んだ魔石は、精霊達のマナも一緒に流れ込んでしまっているらしい。それを聞くと、ジェラルドは眉間にしわをよせた。

「それは、やはりミリエラの力なんだろうね」

「そっか。誰にも言わない方がいいね」

「――ああ、そうしよう。ミリエラと私だけの秘密だ。それと――精霊王様は例外だな。精霊王様にも話をしよう」

 秘密、と聞かされ、思わず右手の小指を立てて差し出した。それを見た父は、不可解な顔になる。

「約束。指切り」
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