天才幼女錬金術師に転生したら、冷酷侯爵様が溺愛パパにチェンジしました！

　うーんと首をかしげながら、ジェラルドは魔石にマナを注いだ。ミリエラの目にだけ見える銀色がジェラルドの身体全体を包み込む。

「――あっ」

　あっという間にスライムの魔石は溶け落ち、ジェラルドは、はぁと息をついた。

「だいぶ絞ったつもりだったんだが」

「今の、多いと思う――パパ、もう一度やってみて」

「わかった」

　ジェラルドは再びマナを注入しようとし――ミリエラはそれを止めた。

「パパ、まだ多い。もっと少しでいいの」

「……難しいな」

「もっと、ちょっと。うんと、ちょっと」

「ああ、そうか。ミリエラは、マナの量が見えるんだったね――このくらいか？」

「もっと絞って！」

　何度か同じようなやり取りを繰り返し、ほんの少しだけ、スライムの魔石にマナを注入することに成功した。

　ジェラルドは、額ににじんだ汗をぬぐった。

「――これは、難しいな。ここまで、注入するマナの量を絞るというのも……それに、注入されたマナの量が少なすぎて、私にもマナを注入する前なのか後なのか見分けるのが難しい」

　しばらく休んでいたとはいえ、ジェラルドは高名な錬金術師だ。