天才幼女錬金術師に転生したら、冷酷侯爵様が溺愛パパにチェンジしました!
 そのジェラルドでも見分けるのが難しいというほどなのだから、スライムの魔石は、やはりなかなか厄介な存在らしい。

「……でも、まだ入るよ」

 それは、ミリエラにだからこそわかるものだった。精霊眼を持つミリエラには、わかる。

 スライムの魔石に注入できるマナの量はたしかに少ないけれど、もう少しできるはずだ。

 先ほど自分でマナを注入したスライムの魔石を取り上げ、もうちょっとだけ注いでみる。

(……もう少し、もう少しだけ)

 これ以上注いだら壊れてしまいそうというところで、マナの注入を止めた。

「これならわかる?」

「うーん……たしかにマナは注入されているようだが、これを使うのは難しいな」

「だよねぇ」

 火の属性を持たせた魔石は、加熱調理機や暖房に使われることが多い。

 だが、中に注入されているマナの量がこんな少量では、ほんのり温かくなる程度だ。それに、あまり長い時間はもたない。せいぜい一、二分というところか。

(……これじゃ、使い物にはならないな)

 もう少しマナを注ぐことができれば――何かに使うことができるだろうに。

 うんうんと魔石を見ながら考え込む。

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