あやかし戦記 見えない糸
イヅナは問いかけるも、巨人は低い鳴き声を上げて手を振り上げる。この巨人も意思が通じない。

「……」

勢いよく振り下ろされた手を避ける。巨人の大きな手が地面に叩き付けられると、まるで地震のように地面や建物が揺れ、母親の腕の中で子どもが悲鳴を上げる。ここにいては危険だ。

「この巨人は私に任せて、お二人は逃げてください!」

イヅナは震える二人に声をかける。

「で、でも……」

母親が震えながら何かを言おうとし、イヅナは「早く!」と叫ぶように言った。慌てて母親は子どもを抱き抱え、逃げていく。

その様子を見た後、イヅナはもう一度巨人の方を向く。そして核の場所を探るべく、今度は自分から何度も薙刀を振り下ろして攻撃をした。

「ギャアァァァァァ!!」

体の肉を斬られるたび、巨人が悲鳴を上げる。しかしすぐに傷が回復していくので、核ではない。だが数十秒、巨人と戦っているうちに、イヅナは核の場所を見抜いていた。

「あなたの核は、肺ね!!」
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