あやかし戦記 見えない糸
「無事でよかった。巨人が十体以上も村に攻めてきている。レイチェルや村人たちが攻撃しているけど、追い付いてない。協力してやってくれ」

ギルベルトが言い、イヅナたちは頷く。呪術師だけでは核を素早く破壊することは難しいのだろう。核の破壊が遅れれば、巨人による被害はさらに大きくなってしまう。妖と戦い慣れたアレス騎士団の方が、巨人との戦いに適しているだろう。

「僕はこっちを、レオナードはあっち、イヅナはそっちをお願い!」

「わかったわ」

「了解!」

ヴィンセントに指示され、イヅナたちは走り出す。イヅナが走って行った先には、巨人に捕まりそうになっている小さな子どもを連れた母親がいた。

「あなたの相手は私よ!」

母親を掴もうとする腕を斬り付け、イヅナは巨人を睨む。母親や子どもが「呪術師じゃ、ない……?」と後ろで呟いているが、今は目の前の巨人を倒すことに集中する。

「本気でこの人たちを喰べるつもり?どうして人を喰べるの?」
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