惚れ薬を飲んだせっかち男爵はとにかく今すぐ結婚したい
12:彼との出会いと別れ、そして再会
 ジルさんとルーカスを残したまま、私はダンさんに連れられて部屋を後にした。

 私の左手の傷を見たルーカスは、やっぱり傷付いた表情をしていた。
 6年前、初めて私の左手を見たあの時と同じ・・・。
 いくら惚れ薬を使ったところで、私達の関係はあの時のままだ・・・。
 昔の様に、心の底から笑い合える関係にはもう戻れないのかもしれない。

 前を歩くダンさんの背中を見ながら、私はルーカスと過ごした遠い昔の日々を思い出していた。

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