愛しのキャットボーイ〜野良猫少年拾いました〜
「気をつけるから平気よ」
「そっか……」
「ありがとね、心配してくれて」
「……じゃないよ」
「え?」
一瞬だった。指の絡んだ手を引かれ、前髪越しの額に柔らかいモノが触れる。そしてそれはすぐに離れていった。
額を抑え、ポカンと口を開き固まっていると、手のひらにスマホが乗る。
「心配はしてるけど、それだけじゃないよ」
「……は、え……ユキ?」
「僕以外、春香に触って欲しくないっていう独占欲も含まれてるから」
ユキのきれいな銀髪が、首を少し傾けたことで目に一筋掛かる。
独占欲という言葉を口にしたユキの柔らかだけどしっかりとした声は、異様な色を含んでいるように聞こえてしまった。
それくらい、その言葉を発する表情が、声が、目が、今までに見たことのないくらいキレイで、今までに見たことのないくらい『男性』だった。