愛しのキャットボーイ〜野良猫少年拾いました〜




「春香?……どうしたの」
「……」
「何か嫌なことがあった?」
「……」



 私を包み込むように、ユキの腕が私の背中に回り安心する。


 私はいつからこの子の体温に安心するようになっていたんだろう。
 ずっと、こうしていたい。でも、でも……。



「……ごめんなさい。仕事でちょっと嫌なことがあって」
「……そうなんだ」
「今、離れる」
「いいよ」
「え」
「しばらくこうしてよう? 僕も人肌恋しかったから」



 耳元で聞こえたユキの声に泣きそうになった。



< 229 / 324 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop