消えた未来
「織部さんも、八神さんも顔に出すぎ」

 久我君はベッドから降りて、私たちのところに来た。

「それで、なんで二人?」

 目が「誰にも言うなって言ったよな?」と言っている。

 若干睨まれているようで、怖い。

「今日は星那と帰るから、あの約束はなかったことにしてもらおうと思って……詳しいことは、なにも言ってない」

 疑われるのも無理ないと思ったけど、隣で星那が頷いてくれているから、久我君は信じてくれた。

「じゃあ、もう変な想像はしないんだな」
「それは」

 しないとは言い切れなかった。

 知りたくなくなったわけではなかったから。

 言葉を途中で切って、久我君にため息をつかれた。

「真央を責めるのは、違うんじゃない? 久我が変に隠しごとをするから、いけないんでしょ」

 私がなにも言えなくなっても、代わりなのか、星那が敵意剥き出しで言った。

「簡単に誰かに言えるなら、隠しごとじゃないだろ」

 久我君の正論に、星那は反論できなかった。

 私も、なにも言えない。

「ねえ、どうして織部さんは侑生のこと、知りたいの? ただの興味本位なら、二度としないで」

 先生にも厳しく言われるとは思っていなくて、私は言葉に詰まった。
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