酔いしれる情緒
頬に触れた春の手が
火照った身体を感じさせるくらいに熱くって
(────あ。やばい、食われる)
瞬時にそう気づけたとしても、
抵抗できる暇もなく
案の定春はそのまま私の唇を奪ってた。
床には物が散らばり
放ったらかしになったままで
「っ、……」
階段の影に隠れて
私達は深いキスを交わす。
春とのキスはもう数えられないくらい経験した。
だからこそ私も少し慣れたみたいで
ちゃんと応えられているのかは分からないけど、どうすればいいのかはなんとなく分かる。
「ん、…っ」
けど、息をするタイミングは今でも分からない。
絡め取られた舌は春にされるがままで
この刺激を深く感じては
頭がポーっとして
息も絶え絶えになってきた。
(見られたら…やばい、よね……)
止まらないその行為に不安を覚えつつある今
メガネの縁がさっき以上にグッと顔に当たっては、その感覚に少しだけ我に返る。
(ここに人が来たら、まず変な目で見られて…)
それと同時にコイツが一ノ瀬櫂だってこと、バレてしまうかもしれない。
そうなれば確実大騒ぎだ。
記事にも取られて、今まで以上に厄介なことに巻き込まれるはず。
「はる、」
テレビに映る人が………外でこんなことしちゃ、ダメなんじゃない?