酔いしれる情緒


頬に触れた春の手が


火照った身体を感じさせるくらいに熱くって





(────あ。やばい、食われる)




瞬時にそう気づけたとしても、

抵抗できる暇もなく

案の定春はそのまま私の唇を奪ってた。




床には物が散らばり

放ったらかしになったままで





「っ、……」





階段の影に隠れて


私達は深いキスを交わす。





春とのキスはもう数えられないくらい経験した。



だからこそ私も少し慣れたみたいで


ちゃんと応えられているのかは分からないけど、どうすればいいのかはなんとなく分かる。





「ん、…っ」





けど、息をするタイミングは今でも分からない。




絡め取られた舌は春にされるがままで




この刺激を深く感じては


頭がポーっとして


息も絶え絶えになってきた。





(見られたら…やばい、よね……)





止まらないその行為に不安を覚えつつある今


メガネの縁がさっき以上にグッと顔に当たっては、その感覚に少しだけ我に返る。





(ここに人が来たら、まず変な目で見られて…)





それと同時にコイツが一ノ瀬櫂だってこと、バレてしまうかもしれない。



そうなれば確実大騒ぎだ。


記事にも取られて、今まで以上に厄介なことに巻き込まれるはず。





「はる、」





テレビに映る人が………外でこんなことしちゃ、ダメなんじゃない?
< 223 / 325 >

この作品をシェア

pagetop