酔いしれる情緒


口元の部分が解かれるとそこに冷気が触れた。



だけど寒いという感覚はなく

私はただ一点だけに集中してしまって。




「─────あれ。緊張してる?」




春は私の顔を見てクスリと笑った。



どこを見てそう思ったのか。


顔が強張っているように見えたのかもしれない。





「…するなら早くしてよ」


「急かすなんて凛らしくないね」


「そういうのいいから」





早く。


目でそれを訴える。



この状態が気恥しくて、その瞳に見つめられていることが私の心拍数を上げる。




焦らすなんて、逆にコイツらしくない。



いつもなら場所とか関係なく

急かすように

してくるくせに。





「凛」


「なに」


「目、閉じなくていいの?」


「………………」


「俺は全然構わないけど、」





伸びてきた手が私の頬に触れると、そのまま耳まで触られる。





「もっと緊張しちゃうんじゃない?」


「っ…………」





唇をきゅっと噛み締めて


言われるがまま目を閉じる私。



謎に力が入ってギュッと瞑ってしまうから無意識に眉間に皺が寄ってそうで、今の私まるで怒ってるような表情を浮かべてそう。




クスクスと笑い声。




もう……聞かなかったことにしよう。





だって


今はもう






「凛…」






それどころじゃ───…

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