酔いしれる情緒
ふわりと春の香りが優しく鼻をくすぐる。
肌に感じる温もりが
もっと私を弱くし、酔わしていく。
ストレスなんてものは何も感じない。
幸せだと、心の底からそう思った。
この気持ちが伝わればいいのにと
より深く抱きしめた矢先、
「凛。」
名前を呼ばれては顔を上げる。
春は私がこうなることを待っていたかのように
また一度「クスッ」と笑って。
「凛をここまで依存させたのは、俺だよ。」
前に私が言った言葉を
少しだけ変えて
今度は春が口にした。
『私をここまで依存させたのは春だよ。』
ほんと、その通りだ。
以前の私がほぼ勢いで言ってしまった言葉だけど、今となれば間違っていない。
春の目を見ると何も考えられなくなって
春のぬくもりが私に力を失わせて
春のそばにいられるのならこうやって追われる身になるのもありだと思ってしまった。
私の心は既に春のモノ。
どこにしまい込もうとも、春は簡単に見つけ出しては引きずり出してしまう。
隠しても無駄。絶対に逃がさない。
「これでもう俺から離れられないね?」
春の手の中にいると、彼はどこか余裕げに目を細めて私をその色素の薄い瞳に捕らえるのだ。