酔いしれる情緒


(離れるつもりなんて……さらさら無いし)




逃げるつもりもない。




だって分かってるから。



春を手放しては

この先、生きていけないことくらい。





至近距離で視線が絡み合う。



私は抱きついたままグッと距離を詰めて





「離れないよ」





────私はアンタに依存してる。





「ずっとそばにいる」





────前よりも、もっと。





心よりも先に


身体が動いてしまうのだから





「私の心は、春のものだから」





これは紛れもなく事実なんだ。





潮風が私達の服や髪をふわふわと揺らす。




春は私の顔を見下げて額に1度口付けを落とすと



それが合図のように引き寄せられて





「好きだよ、凛。」


「私も、好き」





私達は久しぶりのキスをした。





唇から感じる甘い感覚が



私の身体をもっと春の毒で犯して





『もっと』





そう口にしてしまいそうになる。





「あー…やばい……」





一度だけの軽いキスが終わると、

春は眉根を下げて片手で口を覆い隠した。




そして





「やっと俺のものにできた」





困ったように笑みを浮かべるその顔は



なんだか本当に嬉しそうで





「これからはシンジくんって呼ぶの禁止ね。」





何故か突然春の口から慎二くんの名前が。





「なんで?」


「俺が凛を好きすぎるからだよ」


「いや理由になってないし」


「わかんない?」





春の親指が私の唇を撫でる。



たったそれだけで身体がピクリと反応してしまう程、今の私は敏感になっているらしい。


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