酔いしれる情緒



「シンプルに、嫉妬だよ」


「どこに嫉妬する要素が…」





マフラーごと引き寄せられると、また唇が触れそうなこの距離に無意識にも口を閉じる私。





「その口から男の名前が出ること。他の人の匂いをつけて帰ってくるところ。俺じゃない誰かに簡単に触れられてるところ、とか。

凛からすればたったそんなことだとしても、俺にとってはそんなことで済まないんだよ」


「っ!」


「凛のことになると心が狭くなるし、子供みたいに我儘になる。」





口を開けと言わんばかりに

唇に触れていた指先が口の中へと侵入した。




舌を撫でられて


そこに冷気が触れる。





「出来ることなら、誰の目にも映さないように…」





波の音のおかげで鼓膜を刺激するような音はかき消してくれているけど、舌に伝わる熱と感覚だけは身に感じるばかり。




よくこんなことが外で出来るなと、



頭の中ではそう抵抗してみせるけど────

身体はこの感覚を素直に受け入れてしまってる。




顔は火照って熱いし、きっと頬は赤い。




目に涙が浮かぶのは
上手く息が出来ない苦しさから?


それとも独占欲丸出しのコイツに対する恐怖?


逃げられないことに対しての後悔?





いや、違う。


どれも違う。





「俺の腕の中でずっと閉じ込めてたいと思うほど、凛が憎くて愛おしい」






彼の心も


瞳も



全部が私に向いていることを知って


心がいっぱいいっぱいになってだ。

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