酔いしれる情緒
愛おしく私を見るその目。
近づいたことによる、暗く染る視界。
妖艶な表情が瞳いっぱいに映る。
今『それ』を許してしまえば、ここが外であろうと何かが始まりそうな気がして咄嗟に春の口へ手をあてた。
欲を言えば、流されてもいいかも。と思ってしまったが、ダメだと必死にその想いをかき消して春を止めた。
今はそれどころじゃない。って。
だとしても簡単に諦めてくれないのがこの男。
「ここ、外だからダメ」
「じゃあ室内行こう」
「なんでその発想になんのよ」
「外じゃ嫌だって言うからじゃん」
「そうだけど、そういう事じゃなくて……」
「そういう事じゃなくても、そういう事にしておきたいんだよ」
口元には笑みを浮かべ
けれど私を見るその目は至って真剣で。
「やっと手に入ったんだ。
触れられなかった分、
今は存分に凛を感じたい」
艶めいた瞳が私を貫いて離さない。
遠くから私達を見ている人達がいるのに
この状況をなんて説明しようか。
襲われてます、は
間違ってないけどおかしいな。
だって私も応えようとしてるから。
「………家に帰ってからね」
この溢れ出る熱を。