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「蒼空さんはもう食べたの?」
「お前が寝てるときに食べたよ」
近くのタンスをガサゴソと探る蒼空さん。そして何かを持って私と向かい合うように座る。
「お前何歳だっけ。16歳?」
「19歳!!!!!」
薬の入った箱を見つめて真剣な表情でそう聞かれたから本当に16歳だと勘違いされていたのだろうか。
いや、まあ…勘違いされても仕方が無いような体型だと自分でも分かっているけど、
2年も同じ所で働いているんだからそろそろ覚えろよ。クソ。
「なんだ、お前まだ成人してねーのか。…まあ成人しても酒とか買えねーだろうな。」
「その身長じゃ。」なんて思っているだろうその目。私だってこうなりたくてなったわけじゃないし。
「顔は大人っぽいから買えるし。」
「あーそう。化粧で誤魔化す気か。」
「し、してないし!化粧とか!!」
してます。バリバリしてます。蒼空さんの言うとおり、こんな身長だからこそ顔は大人っぽくしておきたい。
(これでも来年は20歳だからね…)
図星だという事がバレないよう必死に否定するが、バレバレのようで。ニヤける蒼空さんを横目にお粥を全て食べきった。
「全部食べ終わったか?じゃあ薬置いとくから飲めよ。」
「え、三錠も飲むの?」
「16歳以上は三錠って書いてんだよ。」
ポイッと私のそばに薬の箱を投げてきて、逆に蒼空さんは食べ終わったお皿を持っていく。…確かにそう書いてる。
「三階行くの?」
三錠を一気に飲んで三階に行こうとした蒼空さんの後をつければ「布団。」ってただ一言だけ返された。
…あーそういえば陽葵さんが言ってたっけ。三階に布団があるって。
(…ふーん。用意してくれるんだ。)
そう感づいた私はそのあとも蒼空さんの後をついていく。
「私も手伝ってあげよう。」
「いらん。邪魔だ。寝てろ。」
「残念!もうここまで上がったから」
残り二段って所まで階段を上がった私。蒼空さんから無言の威圧を感じるが気にしない。