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「へ~三階こんな感じなんだ~」
2年も働いているにも関わらず三階に来たのは今日が初めてだったりする。
「……お前ただ三階に来たかっただけだろ」
「そんな事ないし!ちゃんと手伝うし!」
いや、まあ、来たかったのは事実。だって来たことないから気になるじゃん?
「それにしても…何もないね。」
「空き部屋だからな。使う事ねーし。」
隅っこにポツンと置かれた机。それぐらいしかないここの三階。だけど外の眺めは凄く綺麗だ。
「まあ…何もない変わりに、」
突然蒼空さんが溜め息をついた。そんな彼が押し入れのような所を勢い良く開けると、
「…この中は荒れてるけどな」
「…なるほど」
そこからなだれるように落ちてきたのは大量の服。……いや衣装?
「あの野郎…また増やしやがって…!!!」
その大量の服をゲシゲシと踏みつける蒼空さん。そんな彼の隣でその服を拾いあげて見れば、
メイド、キャビンアテンダント、ナース…などなど。
(コスプレ…)
サイズも大きめだから確実に心音さんの物だろう。逆に心音さん以外に誰が着るんだこんな物。
「くっそ…!邪魔なんだよコレ!!」
まだまだ押し入れに入っているコスプレ衣装。その奥にうっすらと見えた布団を蒼空さんが必死に引っ張る。
「よっ…と、……あ?」
「なに?どうかしたの?」
布団を取り出す事は成功したが、蒼空さんは再び押し入れの中に目線を向けていた。
「…布団ひとつしかねーぞ」
「え!?」
眉間にシワを寄せて中を探る蒼空さんの隣で、私も中を見るが、残りは大量に積み上げられたダンボールと心音さんの服(コスプレ)だけ。