ときめき、デイドリーム



「…………、む、?」



肩を揺さぶったおかげか、のろのろと目を開けた朝水くんは、ゆるゆると周りを見渡して、屋上から出て行こうとしている3人を見つけて、そのあと、わたしを射抜いた。


……あ、やっぱり、ナル様に似てる。

目があった瞬間に思ったことは、なんとも場違いなこと。


でも、それくらい、画面越しに目が合うナル様と似たような瞳の持ち主だった。



「…………、おこして、くれた?」

「エッ、……、あ、は、はい。予鈴鳴るから、みんな教室帰ろうって」

「……、そ。ありがと」

「い、いえ……。……、それで、余計なお世話だったらあれなんだけど、……その食べかけのパン、どうするの?」

「……あ、」



立ち上がりかけた朝水くんは、落ちかけていたパンを見つめて、思い出した、とでも言いたげな一言をこぼす。


……この人の場合、本気で忘れてたんだろうなあ。無意識に落ちないように握りしめていたけれど。


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