ときめき、デイドリーム
真生は千住くんと話してこんでて、千井くんも横からそれにちょっかいをかけてるから、わたしと朝水くんはぽつんと取り残されてしまう。
……って、まってまって。朝水くん食べかけの菓子パン持ったまままだ寝こけてるよ?起こさなくていいの?
わたしが屋上でわたわたしている間に、3人は屋上の扉前まで歩いて行ってしまう。
……ええい!!葉柴凛琉、ここは度胸を見せねば!!
「……あ、あああああ、のっっっ、」
口から飛び出たのは、噛み噛みの言葉。
……はて。度胸とは一体。
そして、そんなわたしの決死の言葉に、目の前の人は無反応。眉をぴくりとも動かさない。
……ま、真生、たすけ、
そうやって、親友へと助けを求めようとしたところで、ぴたりと思いとどまる。
これじゃあ、中学の時と同じだ。なんにもできない、わたしと。
口をむぎゅっと引き結んで、心を最大限落ち着かせてから。
「あ、ああのっ、み、みんな、行っちゃいますよ!!」
肩をゆさゆさ涙目で揺さぶりながら、そう言った。