ときめき、デイドリーム



「わたしは、朝日ナルくんのいちファンではありますけど、ナルくんが自ら話したがらないことを追及したいとは思ってません」




元アイドルで、いまは俳優一筋の朝日ナルくん。

わたしはアイドル時代は残念ながら知らないけれど、それなりに苦労もあったんだろうと容易に想像はつく。


話してもいないことをどんどん追及されて、それがまるで、真実かのように扱われるくるしさを、わたしは知っているから。




「なんて言うんですかね。ちゃんとルール?節度?を守って応援したいって気持ちのほうが強いので。朝水くんに根掘り葉掘り聞き出そうとか、ひとりだけ抜け駆けみたいなことはしないって決めてますから」




いつか、ナルくんが話してくれるプライベートな話を、どこか公共の電波で聞けたらラッキー、ぐらいにしか思っていない。




「なので、わたしがストーカー化する心配とか、家割り出されて拡散!みたいなことはないのでご安心を……って、す、すみません!!あ、ああ、朝水那吏様のこと、人前でもないのにくん付けなんかで呼んでしまって……!!」




ここで、自分の失態に気づく。

いつもいつも、わたしは失敗したのにあとから気づくんだから、どうしようもない。


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