海とメロンパンと恋
「キスしたら、次はもっと深くと思う
胡桃に触れたら、俺はきっと俺自身を制御出来なくなる
これでも胡桃を怖がらせたくないから
ゆっくり進めたいと思って自制してるんだ」
胸に手を当てたまま聞いた桐悟さんの本音に
カーッと顔が一瞬で熱を帯びる
付き合うってそういうことも含めるんだと今更ながらに重みを感じて
少しずつ下がる顔を桐悟さんの手が止めた
「胡桃が無理なら俺は待つ」
「・・・」
「だがな、気は長いほうじゃない」
「・・・え」
「だから、早く覚悟を決めろ」
「・・・・・・っ、うん」
「いい子だ」
そう言って頭の天辺にリップ音を立てた桐悟さんは
「あ゛〜、全然帰らせたくねぇ
このまま胡桃を監禁してぇ」
さっきと違って軽い声で恐ろしいひと言を放った
・・・えっと、犯罪、だよね?
「恋人なら罪じゃねぇだろ」
面白いくらい肩が跳ねた
「クッ、嘘だ」
何をどうしても桐悟さんに叶うことなんて無さそうで
結局のところ
「可愛いな」
ソファに座る桐悟さんの膝の上で
散々翻弄された私は
呼吸もままならない状況で
「胡桃から“好き”って聞いてない」
全然似合わないのに
“胡桃の真似”なんて口を尖らせた桐悟さんに
視線を絡め取られたまま
「・・・好き」
告白させられるという辱めを受けた
「桐悟さんの意地悪っ」
「あぁ、胡桃限定な」
お兄ちゃん同様に
全く敵わないみたいです