海とメロンパンと恋




「・・・えっと、トップにメロンパン?」


「あぁ」


「立体にすると、素材に関わらず重いぞ?」


「平面だと・・・」


「それじゃぁ、メロンパンに見えないか」


「だろ」


「・・・薄めの立体なら」


「フリスビー的な?」


「あ、あぁ、そうそう、そんな感じ」


「柚真の妹はメロンパンなのか?」


「ミナ、全身の骨、折ってやろうか?」


「柚真が言うと冗談に聞こえねぇから怖いな」


話しながらも器用にメロンパンを描いたミナは


「この網目が良いな」


出来栄えとしては上出来だと笑った


「明日できるか?」


「・・・は?」


「悪りぃ、急いで欲しいんだ」


「切羽詰まってんじゃん」


「あ〜、こいつ浮気疑惑がかけられてるからな」


「桐悟、浮気してんのか?」


「んな訳ねぇ」


「妹が聞いてるの知らずに“どうしても会いたい”って言ったらしいぞ?」


「酷くねぇ?」


「“どうしても会いたいんだ、ミナ”ってな?」


「・・・チッ」


「・・・ハァ???それって俺との電話じゃん?」


「クッ」


「え?マジってこと?」


「あぁ」


自分が原因だと分かって目を見開いたミナは
一瞬で眉を下げて「悪いな」と少し肩を上げて謝ってきた


「ミナは悪くねぇ」


「そーだぞ?ミナは悪くねぇ、桐悟が信用されない男だってことが問題だ」


「あ〜そういうことかぁ
てか、蒼佑は連れて来なかったのか?」


「あぁ」


少しの不穏な空気も次の瞬間には綺麗さっぱり消え去っていて


「電話しよーぜ」


コイツらと居るのは居心地が良い


結局呼び出された蒼佑も加わって
久しぶりの飲み会は時間を忘れて笑っていた




「てか、ミナ、なんでミナになったんだっけ?」



「アイドルと同じ名前が嫌だったから」



「「「ブッ」」」




side out










< 153 / 190 >

この作品をシェア

pagetop