パリの空の下、極上セレブ御曹司の貴方に今日も甘やかされてます
 それから橋を渡りきって、対岸のルーブル美術館に向かった。

 観光客が大行列しているのを見て、中に入るのは諦めた。

 そしてガラスのピラミッドの前で、顔を寄せ合って自撮りで記念撮影しているとき、視線を感じた。
 長い黒髪の、背の高い男性……
 
 あれ? ルイだ。
 
 ああ、そういえば。
 今年のパリコレ、自社ブランドのショーをルーブル宮でするって言ってたっけ。

 仕事中だからなのか、とっても気難しそうな顔でこっちを睨んでいる。
 そして手を振っても答えてくれず、さっさと後ろを向いて建物のほうに歩いていってしまった。

「もう、何、あの態度!」
 わたしが思わず日本語で叫ぶと、「どうしたの?」とラフが小首をかしげてわたしを見た。
 
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