初恋マリッジ~エリート外交官の旦那様と極上結婚生活~
終始、和やかに進んだ披露宴が終わり、会場の出口で招待客を見送る。
十二月上旬に開催される台湾公演に向けて、明日には日本を発つと言う結城のおじさまに、演奏のお礼を伝えて別れる。そして、しばらくすると真紀と陽太が私たちの前に姿を現した。
「小夜子。すごく綺麗だよ」
「ありがとう。真紀もそのパンツスーツ、とても似合ってるよ」
「サンキュ」
お互いのことを知り尽くしている幼なじみの褒め言葉は、なによりうれしい。
レースのトップスにブラックのワイドパンツを、クールに着こなしている真紀と微笑み合う。すると、今まで黙っていた陽太が彼に突然頭を下げた。
「その節は、ご迷惑をおかけしました」
陽太が言う『その節』とは、私のスマホを取り上げて彼に暴言を吐いたあの出来事のことだろう。
顔を上げた陽太の頬と耳は赤みを帯びていて、酔っているようにも見える。
「ちょっと、陽太……」
新婦の幼なじみが新郎に頭を下げる光景は、どうしたって目立つ。
周りの視線を気にして声をかけると、彼が「ああ」とつぶやいた。
「キミが陽太君か。妻から話は聞いているよ。あのときのことは気にせず、これからも妻をよろしく頼むよ」
「……はい」
彼が私の腰に腕を回して力を込める。