初恋マリッジ~エリート外交官の旦那様と極上結婚生活~
私のことを妻と連呼して、これ見よがしに体を密着させるのは、陽太をけん制するため?
独占欲をあらわにする彼の前で、陽太が小さく縮こまる。
「小夜子。落ち着いたら、また会おうね」
「うん」
微妙な空気を感じ取った真紀が、陽太の腕を掴み、私たちの前から立ち去って行く姿を複雑な気持ちで見送った。
次に白のフルートケースを手に持つ彼女が、彼と握手を交わす。
「久しぶりに麻里江のフルートを聞いたけど、昔とちっとも変わってなくてよかったよ。ありがとう」
「直斗に褒めてもらえてうれしいわ。今度は大学時代の仲間で会いましょう?」
「ああ。そうだな」
彼の隣でふたりの会話に耳を澄ます。
彼と同じ大学に通っていた麻里江さんに少しの嫉妬を覚えたけれど、私が知り得ない過去にこだわっても仕方ない。
「フルートの演奏、とても素敵でした。ありがとうございます」
気持ちを切り替えて、麻里江さんに言葉をかける。
「いいえ。私も楽しかったです。今日はありがとう。いい披露宴だったわ。末永くお幸せに」
「はい。ありがとうございます」
短いやり取りが終わり、長い髪をふわりとなびかせて披露宴会場を後にする麻里江さんを見送った。