初恋マリッジ~エリート外交官の旦那様と極上結婚生活~
目で追うのをあきらめ、支払いを済ませて商品を受け取った。すると、彼がどこからともなく姿を現す。
「持つよ」
「でも……」
彼には先ほど買った、チョコレートが入った袋も持ってもらっている。
荷物持ちみたいなことをさせていいのか悩んでいると、抵抗する間もなくショッピングバッグを奪い取られた。
強引な中に垣間見える、優しい気遣いがうれしい。
「ありがとう」
「いや。それで次はどこに行く?」
観光とショッピングを楽しみ、今はいい感じに疲れている。
こういうときは、甘い物がほしくなる。
「ザッハーに行きたい!」
大きな声をあげる私を見て、彼がクスリと笑う。
年上の彼につり合うような、落ち着きのある女性でありたいと思うのに、なかなかうまくいかない。
しとやかな淑女になるのは難しいと小さく肩を落とすと、目の前に大きな手がスッと差し出された。
「行こうか」
「うん」
彼の手のひらに、自分の手をそっと重ねる。
直君は私の子供じみた言動を笑っても、決してバカにはしない。
昔も今も優しい彼に胸をときめかせて、繋いだ手にキュッと力を込めた。