初恋マリッジ~エリート外交官の旦那様と極上結婚生活~
シェーンブルン宮殿を満喫してホテルに戻るとチェックインを済ませ、フロントでカードキーと預かってもらっていたキャリーケースを受け取る。
結城のおじさまが予約してくれたのは有名な5つ星ホテルで、否が応でも気分が上がる。
期待に胸を膨らませて七〇七号室まで移動すると、ロックを解除して室内に入った。
アンティーク調のインテリアが配置されているクラシカルなリビングの奥には、白と青を基調にした上品な内装のベッドルームがある。
「幸せ~!」
大きなベッドに体を投げ出し、子供のように手足をバタバタさせて、素敵な部屋に泊まれる喜びに浸った。しかし、共感してくれる人がいないせいかハイテンションな状態も長くは続かない。
ひとりではしゃいでしまったことが急に恥ずかしく思えて、枕を抱えて横向きになった。
それにしても、さすがに疲れた。
機内で長時間すごしたせいか背中が軽く痛むし、広いシェーンブルン宮殿を観光した足は棒のようだ。
コンサートの開演時間は午後八時。まだ時間に余裕がある。
少しだけ仮眠しようと思い立ち、スマホのアラームをセットして瞼を閉じた。