初恋マリッジ~エリート外交官の旦那様と極上結婚生活~
「ああ、本当だ。ウィーンで一緒に過ごしているうちに天真爛漫な人柄にも惹かれた。この先の人生をともに歩みたいと思った女性は小夜子ちゃんが初めてだ。俺と結婚してほしい」
彼の情熱的な言葉が胸に響く。
まだ二十七歳とか、好きになった人と恋愛を経てから結婚したとか、今はそんなことなどどうでもいい。私は直君を好きだし、彼も私を大事に思ってくれている。
「はい」
感動の涙が瞳からあふれるなか、コクリとうなずく。
「相変わらず泣き虫だな」
彼が小さく笑って目尻ににじむ涙を指先で拭い、大きな手で私の頬に触れる。
「好きだよ」
「私も好き」
お互いの目を見つめて胸に秘めていた思いを伝え合う。そして、端整な顔がゆっくりこちらに近づき、キスの予感に瞼を閉じるとふたりの唇がそっと重なった。
このまま、時間が止まってしまえばいいのに……。
叶わない思いを胸に、甘くて優しいくちづけに酔いしれていると唇が静かに離れていった。
彼と初めてキスを交わした気恥ずかしさと、初恋が実った喜びを感じながら、ふたりで微笑み合う。
「俺たちを引き合わせてくれた叔父さんに感謝しないとな」
彼の言う通り、結城のおじさまがウィーンのコンサートに招待してくれたおかげで、私たちは再会できた。