一途な敏腕社長はピュアな彼女を逃さない





「かよ子さん!聞いてます?」


ぼぉーっと考え事をしているかよ子に

目の前に座っている瑠花が

疑いの眼差しを向け、口を尖らせた。


「あっ!ごめんなさい!

き、聞いてませんでした...」


かよ子はハッと肩を震わすと

申し訳なさそうに頭を下げた。


今日は瑠花が聞いてもらいたいことがあるというので

会社の近くのパスタ料理専門のお店に

ランチに出ていたのだ。


他の社員に聞かれてはまずいことらしい...


するとそこへ

料理を乗せたトレイを手に

黒いエプロンを着た店員がテーブルへやってきた。


そして、かよ子の前に

大葉と明太子の和風スパゲティ、

瑠花の前にはモッツァレラと

バジルのトマトスパゲティーが並べられた。


店員はごゆっくりどうぞと

かよ子たちに笑顔を向けると

厨房の奥へと下がっていった。


瑠花は店員が下がったのを確認すると

知っているものがいないか

キョロキョロと辺りを見渡して

少し身を乗り出し小声で呟いた。


「実はですね...

私が酔っぱらって勝さんに

送ってもらったあの夜に...

やっちゃったんです」


瑠花はウーロン茶の入ったグラスを持つと

恥ずかしそうにストローでお茶を飲んでいる。


「えっ?瑠花さん何をやったんですか...?」


真面目な顔で聞き返すかよ子に

瑠花はお茶を吹き出しそうになった。


「かよ子さん、やるといったら

セックスに決まってるじゃないですか!?」


「えっ!セッ...」


かよ子は顔が沸騰するかのように

一気に真っ赤になった。


「酔った勢いで私から押し倒しました。」


「えっ!押しっ!?」


「しかも、昨日も携帯で呼び出されて

勝さんの家でもう一度...」


二人のあまりに早い展開にかよ子は

目をぱちぱちさせて固まっている。


「あ、あの...

瑠花さんは勝さんのこと好きなんですか...?」


かよ子の言葉に瑠花は頬を赤く染めて

コクンとうなずいた。

















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