宿敵御曹司の偽り妻になりました~仮面夫婦の初夜事情~
「島に来て良かった。あなたが落ち着いて暮らしているのがわかって。」
「お義母様?」
「水杉の男は、みんなおかしくなっちゃうのよ。」
「ええっ!」
「ああ…。言葉が悪かったわね。驚かせてごめんなさい。」
「どういう意味でしょうか?」
「水杉の男はね、何か一つに執着すると周りが見えなくなっちゃうみたい。」
「はあ…。」
「夫の父は、お金に執着して…恵まれた暮らしをしているのに満足しきれなかった。
もっともっと稼いでやるって欲を出したから、身を滅ぼしたのよ。」
「あの島を手離す事になったんでしたね。」
敏子は頷いた。
「私の夫は…とても真面目な人だったけど、60になった途端に壊れたわ。」
「それは…。」
「女に走ったの。」
「まさか!」